最近、印刷業界外から「自動組版」というキーワードでのお問い合わせが増えてきたので、自動組版について知りたい、仕組みを探しているといったことを考えている業界外の方に向けて「自動組版が本来持つ意味と力」について解説したいと思います。
1.データを演算して表現する技術
2.データの整備を促進する手法
「1.データを演算して表現する技術」は、見た目で分かる話で、自動で組版される、という言葉そのものです。
「2.データの整備を促す手法」については、あまり取り沙汰されていないのですが、自動組版が本来持つ意味と力を理解するには、とても重要なポイントです。
といっても、業界外の方には、自動組版が自動で組版する以外のメリットを伝えようとしても、なかなか難しいので、例をあげて説明したいと思います。
日本企業に馴染みの深いExcelですが、海外から見ると、
表計算ソフトでそこまでするか!
というぐらい凝った作りなのだそうです。
コテコテのExcelの修正を依頼されたとき、
え、これどうやって作ってんの???
とか、
同類の提出資料をまとめていたら、
あれ、〇〇さんのだけなんか違う...
とかないでしょうか?
このようなExcelを仕事で扱っていると、時間がかかるし、操作ミス、入力ミスの発生リスクも高いというのは言うまでもありません。
この問題は、IllustratorやInDesignを使って印刷データを作る印刷業界でも全く同じです。
よく分からない作り方をしていると、ちょっとした修正なのに、ものすごい時間がかかったり、作業した人によって見た目が違うというのもよくある話です。
また、個人個人の力量によって作られたExcel、DTPデータを集積してもデータの再利用はまず無理ですし、出来たとしてもかなりの労力を費やす事になるでしょう。
このようなデータが業務内に蔓延っていることが業務全体を非効率にしている、という事をまずしっかりと理解する必要があります。
ここまでの話をまとめると、次のようになります。
・データの問題である事
・その問題は、データの作り方の問題である事
・さらにその問題は、それを良しとしてきた組織に問題がある事
このような状態では、データベースや自動組版システムを入れても解決しない、という認識をまず始めにすることが重要です。
効率化というと、日々の業務時間を減らす、といったようなことが思いつくと思います。
では、データの効率化とは、一体なんでしょうか?
Excelに話を戻します。
提出する見た目を意識して作るのではなく、次のように考えます。
データ
演算
表現
これらを3つのシートに分けます。
データシートには再利用しやすいデータを入れ、セル結合、加工などはしません。
そのためには、最終的な見た目には必要ないが他のデータと連携するための情報もストックしておく必要があるかもしれません。そう言ったことも考えに入れておけるようになると、さらにデータが効率よくなります。
演算シートは、データシートにあるデータを表現シートに渡すために必要な加工を行います。
表現シートは、演算シートから参照するだけにします。単純にデータをプロットするだけです。
これは、
データと表現は区別する
データと表現の間は演算させる
という、自動組版の考え方です。
このようにすれば、
・データを変えたい人は、データシートだけをさわる。
・見た目をどうしても変えたい人は、表現シートだけをさわる。
・データを再利用したい人はデータシートからデータを抜けばいい。
というように、前述した問題を解決する事が出来ます。
データ
演算
表現
DTPソフトで、データや演算を考えず、表現だけを考えて、えいやっとにやろうとするから、ミス軽減や効率化がいつまで経っても出来ない、つまり自動組版が出来ないのです。
効率化をしたい、ということであれば、DTPソフトから一歩引いて、データや演算を意識する必要があると思います。
そして、それを実現するのが自動組版という技術という事になります。
自動組版というのは、
データを
演算して
表現する
もの、ということです。
そして、これを成立させるためには、
・レンダリングエンジンの安定性
・柔軟で効率的なデータ
となります。
ここまでの話がうまく伝わっていれば、自動組版の捉え方が変わると思います。
自動組版でうちのカタログが出来るか?
ではなく、
うちのカタログのデータを柔軟で効率的なデータにするにはどうすればいいか?
になると思います。
演算の部分は、データと表現したい形が決まっていれば、
なんとでもなるところ、だと思いますので、
・データの整備をサポートしてくれるところ
・表現するためのノウハウをどれだけ持っているところ
に的を絞って探してみると良いと思います。
ちなみに、弊社はもちろん両方持ってます(キリッ
弊社の自動組版クラウドサービスdot3を例にあげると、以下のようになります。
データ アイテム
演算 フィルタ
表現 デザインパターン
このように分けているおかげで、それぞれを柔軟に切り替える事が出来、データの問題も作り方の問題もクリアされ、業務効率化を実現できる、という事になります。
dot3ではどんな感じで自動組版を行うのかを紹介した動画です。
今回は印刷業界外の人向けに書きましたが、結局、自動組版とは何なのか、というと、
データを加工して印刷用にプロットする
そのためには、データを整備する必要がある
ということだと、理解していただければと思います。
そして、私たちは、自動組版という技術を活かして、そのサポートをしています。
自動組版クラウドサービスdot3
データから印刷データの自動生成など
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