自動組版で使うデザインのことを「テンプレート」や「パターン」と呼んだりしますが、その呼び方によって、自動組版に対する捉え方が変わる気がするので、その意味を踏まえて再定義してみたいと思います。
テンプレート(英: template)とは、「型板」や「鋳型」という意味を持つ英単語である。
テンプレートは「型に流し込んで、同じ形のものをつくりだす」ことから、一般では「定型文」「ひな形」「決まった様式」などの意味で用いられる。また、インターネット上では「テンプレ」と略して用いられる傾向があり、インターネット上で「テンプレ」と書かれた場合は、同じような文章や決まり文句が繰り返されるような状況で用いられることが多い。
(引用:weblio辞書)
テンプレート(template)の語源は「伸子・籡(しんし)」という意味を持つtempleである。伸子とは、布を洗ったり染色をしたりするときに、布幅を左右均等にぴんと張った状態にする棒状のもののこと。「一定の状態にする」という意味から、templateの「型」という意味が生じた。
(引用:weblio辞書)
このことからすると、「テンプレート」と呼ぶ人は、「型」という認識が根底にあり、自動組版と関連付けるときに、「自動組版は型を作って、型に流し込むもの」という認識になっていると推察できます。ある意味間違ってはいないのですが、自動組版を「固定的なデザインに適したもの」、あるいは「それしかできないもの」と捉えている可能性が見えてきます。
「パターン」とは、繰り返し現れる特定の形や構造、またはそのような形や構造を持つ物のことである。例えば、幾何学的な図形や色彩の配列などがパターンに該当する。また、行動や思考の繰り返しや、特定の状況下での反応の仕方などもパターンと呼ばれることがある。
(引用:weblio辞書)
「父(pater)のような模範」※ラテン語
(引用:語源英和辞典)
「繰り返し現れる特定の形や構造」というのが、いいですね。
という捉え方ができます。
こうして言葉の意味を整理してみると、私たちが提供している「自動組版クラウドサービスDOT3」でも、デザインパターンやレイアウトパターンと呼んでいることが正解だったんだなと確認できます。
最もシンプルな例として、「名刺」でその違いをイメージ化してみます。
上図左側の「テンプレート型」の自動組版と聞くと、単純なデザインしかできないような思考に着地しますが、右側の「パターン型」の自動組版は、
と理解することができます。
自動組版に限らず、デザイン・レイアウトは様々な情報で構築され、構造化されています。
また、その構造の中には、秩序(ルール)があり、その内容となる文字や画像が組み合わさり、実体となって出力されます。
DOT3のデザインは、「構造化されたパターン」です。
DOT3でのパターン作成は、デザインの分析から始まって、文字や画像、各種オブジェクトの大きさや色、位置などの情報や、データの振る舞いを制御する秩序を構造化して作成します。
ここまでで、めっちゃ難しそう…と思われると困るので、そのハードルを下げる話を付け加えて終わります。
DOT3のパターンは、InDesignで作成します。
DTPデザイナーさんは今までと同じ方法でデザインを起こし、そこにルールとなる情報やどうしたいかといった情報を追加するだけです。
あとは、DOT3用パターン書き出しプラグインで、構造化データを出力してくれます。
付け足す部分はエントリーレベルのものからメカニカルなものまで、やりたい方向性やスキルによって無限大といってもいいぐらいの可能性を秘めています。
この辺りは、また別の機会に書きたいと思います。
DOT3でのデザインパターン作成を実際に見てみたい方は、オンラインデモをお申し込みいただければ、事例を混じえて説明させていただきます。お気軽に、お問い合わせください。
「言葉」って重要ですよね。
「こちら側はこういう意味で使っているけれども、相手は違う意味で捉えている」となると、どれだけ説明しても伝わらないものです。
「パターン」と「テンプレート」が同じものだと認識されてしまうと、DOT3が持つ自動組版の能力も伝わらないので、DOT3におけるデザインは、「構造化されたパターン」であることをアピールしなければいけないなと思います。
普段当たり前のように使っている単純な言葉も、語源を見ると感じ方が変わります。
「夏」は、「暑(あつ)」、「熱(ねつ)」、「生る(なる)」、「撫づ(なづ)」が語源(諸説あり)、「春」は、田畑を「墾る」、気候が「晴る」、草木の芽が「張る」が語源(諸説あり)だそうです。
今は暑い夏の時期ですが、「生命力」が語源に含まれていると考えると、少し元気が出てくる気がします。
「言葉」は、どの時点でどのように習得したかで認識が変わってきますし、言葉と言葉が繋がっていくと、さらにその分岐は複雑になります。
なんか伝わらないんだよなあと思う時には、その語源を調べてみるといいかもしれません。