ブログ
2024-08-05

「校正」の課題から考える自動組版

「校正」の課題から考える自動組版

https://xmldo.jp/Image/topslider/banner_top_newcast.png

https://xmldo.jp/cms/topics/blog/66b0328c0cf2835c297ff5e5

最近は、「AI」などのIT技術の進化と浸透で、人々の暮らしや仕事において、その効果に対する期待が高まっています。

 

私たちの仕事(印刷・WEB制作)でも、文字・画像生成の分野で使うことも増えてきそうです。

 

一方で、現場は、まだまだ昔ながらのやり方が続いており、その中での課題も根本的な解決を見いだせないままです。

 

IT技術を駆使すれば、私たちの仕事は効率化できる、というイメージはあると思うのですが、何故そうなっていかないのかでしょうか?

 

今回は、制作作業の「校正」にスポットをあてて、課題の抽出と解決を探ってみたいと思います。

 

IT技術は信用できない?

「校正」では、伝統的に「目検信仰」が厚いです。

  • 「情報」が正しいか
  • 「指示」通りになっているか
  • 「指示以外」のところが変わっていないか

上記のような確認作業を人間の目で行うのが今現在の校正方法です。

 

「効率」の面では、なんとなく「IT技術」で補完できそうだなと思うのですが、「質」の面で考えるとどうでしょうか?

 

もし仮に「目検」と「IT技術」という二つのブランドがあった場合、どちらを信用するかというと、「目検」を選ぶ人が多いのではないでしょうか。

 

「IT技術」は歴史も浅いし、なんか不安…やっぱり人の目で見た方が「安心」というような感じです。

 

やはり、どんなブランドでも「歴史」がある方を選びたくなります。

 

しかし、その歴史の中で、「校正の質」を上げるために、私たちは何をしてきたのか?を振り返ってみます。

  • 複数の人間の目で校正する
  • 二重三重チェックをする
  • ルールを定め、マニュアル化する

これらが、根本的な解決策にはなっていないことは、現状をみれば分かると思います。

 

ここには、問題が増えるスピードの方が早く、解決が間に合わない、という現象が起きているからだと思います。

 

目検とIT

色々な課題がある校正ですが、今までのような「目検」と、システムやプログラムを使った「IT」のどちらいいのか、という疑問について考えていきたいと思います。

 

次の例で考えてみます。

 

 

この場合、

  • 目検→原稿と付け合わせて見ると「」が正しいと気付いて、赤を入れる。
  • IT→原稿がなければ、それが間違っているかどうか分からない。

となります。

 

目検の場合、原稿が「高」だったとしても、「」が正しいという知識(一般常識であったり、過去の経験から)がある場合もあります。

 

ただし、目検に頼る場合は、「高山氏は山氏である」というルールを知っている人とそうでない人で赤字が変わってしまうことも問題として残ります。

 

ITの分が悪い感じですが、「高山氏は山氏である」というルールが最初から、人間にもITにも記憶されていれば、赤字としてピックアップすることは可能です。

  • 目検で発見した知識→ITに埋め込む

この繰り返しでいけば、人間とITで協業して、校正の質を上げていくことができそうです。

 

では、次の例です。

 

 

このように微妙に違う場合は、どうなるでしょうか?

 

両者とも存在するので、文字としては間違いではありません。

また、原稿も「髙山太郎は、髙山太郎の学生時代の先輩です。」と書かれています。

しかし、ここで次のようなことが発生したとします。

  • Aさん→原稿と同じだから赤字は入れない。
  • Bさん→「高山太郎」さんの方が年下だから後輩のはず...原稿が間違っているから赤字を入れる必要がある。
  • Cさん→「髙山太郎」さんの方が年上だけど浪人していて、「学生時代」とも言っているからこのままでいい。

 

原稿と同じであったとしても、名前と実物の関係性が間違っていると、先輩後輩の関係が変わってしまい、「事実とは異なる情報が掲載される」という結果を招く恐れがあります。

 

こうなると、

  • 原稿を信じて、このまま進める
  • 著者に確認をとる

スルーしたいところですが、見つけてしまった以上、気になってしょうがないので、ほとんどの人が確認をとる(とりたい)と思います。

 

この辺りから、「校正」という作業が、単純ではなく複雑になっていくことが分かります。

 

つまり、校正は単純な文字の間違いの確認だけではない、ということです。

 

また、このような事象は経験の差で気づく気づかないがあるので、品質が不安定になる、ということにも繋がります。

 

こういったことを、ChatGPTのようなIT技術で解消できるかというと、できそうな気もしますが、結局不安が残ります。

 

しかし、このままでは、時間もかかるし、質も上げられない…袋小路です。

 

どうすればいいのか?

  • どこまでを校正するのか=責任の所在を明らかにする

原稿や指示が間違っていても、そのまま行くしかない、ということです。

 

今まで顧客との関係性で、

  • そこまで見てくれるから、仕事が繋がっている

という呪縛のようなものが存在すると思いますが、

 

それによって、

  • 質が高められているか
  • 顧客との関係性は強固なものかどうか
  • 制作に関わる労働者にとって良い環境が構築できているか

を、もう一度考えてみてください。

 

校正にITを導入するメリット

全部お客任せ、ということを提案している訳ではありません。

 

ここで、ITを導入することによって、

  • 質を高める
  • 顧客(または読者)との信頼関係の構築
  • 労働環境の改善

を実現しましょう、と言いたいのです。

 

校正箇所を減らす

実現のためにはどうすればいいのか、に話を進めていきたいと思います。

(ここからは、制作に関わってくる話もあるのですが、あくまで「校正」に的を絞ります。)

  • 原則顧客指示通り→原稿をそのまま印刷物にする
  • 表記揺れなど品質を整えるためにルール化できるところ→システムを通す

つまり、「校正箇所を減らす」という考え方です。

 

校正業務が抱える課題は、課題が課題を呼ぶ形でどんどん増えてしまいます。

 

そうではなく、そもそも「校正する箇所」を減らそうよ、というアプローチです。

 

校正とIT、自動組版

私たちが考える自動組版のコンセプトは次のようになります。

 

 

このコンセプトを具現化して、実現しているのが、自動組版クラウドサービスdot3です。

 

dot3は、以下の機能とメリットを提供します。

  • 原稿フォームに入力→自動組版でその場で印刷仕上がりが確認できる
  • フィルターにルールを記述→ルールが適用された組版結果が出力されるので校正時間を削減できる

校正の袋小路の出口が見えてきたでしょうか?

 

実際に機能を確認したい方は、オンラインデモをお申し込みいただければ、事例を交えて説明させていただきます。是非、お問い合わせください。

 

後記

「校正は虚しい」といつも思います。

 

校正漏れがひとつでも見つかってしまったとき、それは、自分の中で不良作品として残ります。DTPや校正を沢山の人手をかけて、一生懸命やっても全部無駄になってしまうのです。

 

こんなモヤモヤを解決するのも「自動組版」です。

 

自動組版というと、「自動で制作する」方がクローズアップされることが多いのですが、実は「校正」など周辺業務に与える影響も大きいと思います。

 

気持ちよく仕事をして、良いものを提供する…そういった環境を自動組版で構築してはいかがでしょうか?

 

一覧へ…