DTPデータの管理って、皆さんはどのようにされてますか?
DTPデータの管理方法に関する方針・ガイドラインについて、業界団体がまとめたものがあるわけでもなく、あったとしても誰もそれについて監査するわけでもないので、各社独自の解釈と方法で管理している、というのが現状だと思います。
「社内のファイルサーバやDropboxやBoxなどオンラインストレージで管理している」
という返答が多いと思うのですが、
果たして、ここで使われている「管理」という言葉が、意味として合っているのか?
私たちの認識は、ズレているのではないだろうか?というモヤモヤを解消したい、
ということで、今回は「DTPデータの管理」について、そもそも「管理」とは何なのか再確認しながら、どうあるべきかというところを探っていきたいと思います。
「管理」という言葉は、前述のように多元的なので、「データ管理」という分野に絞って考えると、「③物の状態、性質などがかわらないよう、保ち続けること」(日本国語大辞典第二版(小学館))になりそうです。
この意味からすると、私たちの今までの認識「DTPデータをある場所で管理している」というのは「DTPデータをある場所に置いてある」という「状態」のことであり、「管理とは意味が違う」、つまり「置いているだけで、管理しているわけではない」ということが分かります。
「管理」=「物の状態、性質などがかわらないよう、保ち続けること」とした場合、「DTPデータ」がその性質上、耐えうるものなのか考えてみます。
DTPデータは、以下の性質を持っています。
このように、DTPデータはその性質上、それ自体だけ(置いているだけ)では、管理することができない、ということになります。
ここで少し、他の分野のデータ管理がどうなってるか見てみたいと思います。
システム系では、ソースコードはGitHubなどのシステムを使い、いつ誰がどのように変更を加えたか、という情報を管理しています。
データについて言えば、データベースとして管理され、バックアップシステムを使って定期実行し、ある場所に保管するというのが一般的です。
これは、「物の状態、性質などがかわらないよう、保ち続けること」が実施されているので「管理」と呼んでも問題ないと理解できます。
DTPでも、DropboxやBoxはバージョン管理ができるので、ただのファイルサーバ的扱いではなく、運用ルールをしっかりと定めていれば、データのチェックイン・チェックアウトは管理できそうです。しかし、DTPデータが前述の性質を持っている以上、本来の意味の「管理」はできません。
ここまでをまとめると、
となります。
DTPデータが管理できるものではないことを理解をした上で、DTPに携わる私たちは、何をすべきなのでしょうか?
パーツ取りされるのを待つジャンク品のようなDTPデータを、無作為に投げ込まれたバケツの中で保持しているだけに留まっていて良いのでしょうか?
DTPデータを他で使うために欲しいデータを取り出すのは、大変な作業です。
無秩序に蓄えられたジャンク品の山から、手当たりしだいに探すしかありません。
また、ここで大きな問題となるのは、バージョン管理(版管理)がされていないので、取り出せたとしても、それが正しいかどうか、最新なのか100%保証するものは何もない、ということです。
業界外の人からすると、今回の話は、馬鹿げた話に聞こえるかもしれないですが、これが現状です。
印刷業界が、アナログ(写植・版下)からデジタル(DTP)に変わって進歩したかのように見えるのは、幻想かもしれません。
アプリケーションを始め、周辺環境は進歩しているのに、データは管理されていないーー。
業界内の実態は、3-40年ぐらい前のアナログ時代とほとんど変わらないのです。
こういった現状のままでは、印刷業界の未来を考えることなどできない、という想いから、私たちは「自動組版」に取り組み、ひとつの形として、「自動組版クラウドサービスDOT3」を展開しています。
過去の印刷物から、別の印刷物を作成したり、WEBなど別メディアへのデータ転用をする際、部分的に全く同じものを流用するのであれば、そのままコピペで持っていけばいいのですが、大抵は、形を変える必要があります。
その場合「欲しいデータ」とは何でしょうか?
DTPデータそのものは、素材が貼ってある台紙のようなものでしかありません。
本当に欲しいものは「DTPデータではなく、その中身」です。
これはレイアウト情報を切り離して考えると理解できると思います。
レイアウトは「その時、そう見せたいと思ったからそうなっているだけのもの」だからです。
DOT3は、
という管理をしています。
また、版管理やユーザー管理も行っているので、いつどこに何が掲載されたか、誰が最終更新をしたかなどの情報も一緒に管理しています。
WEBなどへのデータ転用のために別の形式にしたい場合には、形を変えてExcel出力する、ということも可能です。
管理された状態だからこそ、別の用途で使いたい場合に、保証されたデータをすぐに取り出せるのです。
在版データをもらって、DTPする時にいつも思うのが、
「これほんとに最新?絶対?」
です。
途中まで進んだり、何か問題が発生したときに、探っていくと「元が違う」なんてことは、印刷事故に匹敵するぐらいの多大なコストロスになります。
しかし、DTP的ミスについては、事故報告書を提出しなければいけないような事態になるのに、データ管理が疎かだったことについてはそれほど問題視されることもなく、あいまいに進んでしまうのが、なんだかやるせないんですよね。
私たちがDOT3で制作する理由のひとつに、管理されているデータから印刷物が出来ているので、「ほんとに最新だし、絶対正しい」と言えてしまうのがとても安心できるし、仕事もしやすい、ということがあります。
DTPに携わっている私たちが「DTPのデータ管理」を考えることは、仕事の根本的な部分であり、とても重要だと思います。
DOT3でのデータ管理を実際に確認したい方は、オンラインデモをお申し込みいただければ、事例を混じえて説明させていただきます。お気軽に、お問い合わせください。