2018年11月6日に名古屋市内に於いて、自動組版クラウドサービス「WPS.3」のユーザー会を開催しました。
県外から30名程の方々にご参加いただきまして、
本当にありがとうございました!!
「次回も是非参加したい」という声が多かった中、「行きたかったのに…」という人のために、また次回の参考にということで開催内容について報告をしたいと思います。
どこまでできるか!WPS.3パターン、デザインバリエーションへの挑戦
デザイナーからの脱却~ノンプログラマーによるデザインパターン試行錯誤の日々
日頃、「あーこの話は、●●さんが得意だな」とか「●●さんの話は、他のお客さんにも話してみよう」といった場面がよくあります。
そこで、ここはひとつ皆さんに集まってもらって、
・ユーザー同士の交流のキッカケを作りたい
・質の高い情報を提供していきたい
ということで開催しました。
今回、出来るだけ多くの参加いただきたかったので、ユーザー以外にも、日頃お付き合いしている企業さんにも参加いただきました。
㈱ニューキャスト 川原正隆
まず始めに、集まってもらったユーザーを中心に、現在稼働中の21社を導入順に紹介しました。
自動組版が名刺などで稼働し始めたのが2004年で、情報誌の第1号は、エールさんの「Papick」です。
当初はまだページ割付の機能がなかったのですが、なんとか乗り切って発行された印刷物を見た時、今までと遜色のない印刷物がWebの中だけで出来たことに、「あぁほんとに出来たんだ」という驚きとともに感謝、感動したことを今でも覚えています。
「驚き」というのは、その頃(今もまあそうですが、、、)、印刷業界ではDTPは人がやるもの、自動なんかでできるわけがない、という固定観念が先行していたからです。
この第一号によって、ユーザーが求めるひとつの形として、WEB入稿・自動組版はやっぱりありなんだ、と確信しました。
ちょっとだけですが、.3の機能の紹介もしました。
2017〜2018年は結構アップデートをしてきたのでまたどこかでまとめてお話できればと思います。
小森 俊彦(こもりとしひこ)株式会社ビイサイドプランニング(滋賀) 代表取締役
小森社長は、永田前社長(現会長)から引き継いで事業をされています。
プライベートでは、地元の少年サッカーチームのコーチでもあり、
アングラー(トップウォーター専門)でもあります。
ここでは紹介できないのですが、かなり具体的な数値を元にお話いただきました。
当社も正にそうですが、募集しても応募が少ないというのを分かったうえで、
それでも出さないと始まらないという、
求人は宝くじは買わなきゃ当たらんというのとほぼ同じ感覚な気がします。
また、求人大手が転職サイトをばんばん宣伝していて、
ジョブホッピング(技能や賃金の向上を求めて転職を繰り返す行為)は定着する段階に来た??
しかし、最後にある「ミスマッチ」が解決しない限り、
日本の中小企業レベルではまだまだ本質的に難しいのではないかと思う今日この頃です。
続いて「求人誌=印刷物」の話です。
WPSが印刷物を出すためのサービスなので、「本ばなれ」というのは、
印刷業界の立場からすると、悲しい気がしてしまいますが、現実なので仕方ない。
かといって全部がWebでおしまいかというとそうでもない気もします。
WPSにとっては、
印刷物が減る→印刷物を作る人が減る(もしくは技量低下)
Webが増える→データ化の需要が高まる
というグラフが交わる当たりがビジネス領域なので、そこはこれからもシッカリ押さえていこうと思ってます。
「役割があると生き残れる」
いい言葉ですね。
20代の頃、まだバイトだったんですが、MacDTPの対等で作業単価も仕事量もどんどん下がり、
もうだめなんかなと落ち込んでいたところ、先代が言った、
社会に必要なものは無くならないという言葉は今でも思い起こされます。
ちなみに先代はまだ生きてます。
ただ社会を傍観するだけではもちろんダメ。
自分たちの芯にあるものが何かを見据えて、今の社会に何が必要か、
何が必要とされるかを見極めれば自ずと道は開かれる(多分)と思っています。
青二才がすみません。
小森さんも言ってましたが、地元企業だからできる狭域のプロモーションは賛成です。
最近電話とオンラインミーティングツールで説明してくる全国展開の求人企業が多くなってきたのですが、一回ぐらい会社来いやって思います。
場所とか雰囲気とかそういうのをただでさえ自社アピールが下手な中小零細企業がハイテクツールで伝えられるわけがない。「心」がない。
そこの経費浮いて嬉しいのはそっちだけじゃねえのと思うわけです。
「〇〇弱者」という言葉がものすごく的を得ている(ネガティブなワードですが)というか、
確かに頑張らなくても就職出来る人はいるし、募集して応募0の空振りをしたことがない企業はいて、
そういう人たちは求人メディアに頼る必要がない。
しかし、就職弱者は目にとまるような履歴を持っていない。アピールの仕方も知らない。
面接を数えきれない程やってきたのですが、そもそも飽食の時代では、
失業率2パーセント代であれば、ブラック企業でなければ、
そこそこ給料あればいいと思っている気がする。
応募してきた人は「ここでぜひとも働きたい」とも思ってなくて、
とりあえず面接受けに来たぐらい、とこちらは思ってしまうのです。
なので、こちらも「とりあえず来てみてやってみて」となる。
やってみんと分からんしねみたいな。
きっとこの時点でもうミスマッチなんじゃないのかな。
入ってからの話ではなくて、面接の時にすでにミスマッチは根底に潜んでいて
入ってからそれが顕在化するだけだと。
でも雇用する側が細かくあれはダメこれはいいとか言うと
まず応募しないのだろうと思うと致し方なくフワッと募集する。
応募する側もあれこれ細かく言うと受からないと思うのかもしれない。
その辺をしっかりやるのを助けて欲しいと切に願うのであります!
人事担当がいないような会社には、面接の時に求人担当が来てくれたらすごい助かるのに。
法律的にダメそうなのが悔しい。
資料以外にも貴重なお話あったのですが、小森さんが資料を削ってきたということは機密かもしれないのでこの辺で。
㈱ニューキャスト 川原正隆
■セッション概要
ニューキャストで取り組んでいるフリーペーパー出版のコンセプト、
印刷・WEB業界に必要とされる人材の育成について、私なりの考え方をお話します。
告知では「地域情報誌の強みと今後の展望」だったのですが、
なんと加藤女史が当日体調不良によって不参加となり急遽差替で
NCのフリーペーパー出版「ばらばら。」の取り組みを紹介しました。
大須商店街をターゲットにした何でもありのフリーペーパーで、新人教育を兼ねた取り組みで、数人のチームを組んで、企画、取材、編集、制作、印刷手配、配布までを行う結構むちゃぶりプロジェクトです。
NCの業務であるデザインやDTP、WEB、システムサポートなどをもちろん教えることもするのですが、
この業界は教えられることは多分1パーセントぐらいで残りの99パーセントは自分で覚えないと無理。
なぜかというと、デザインや技術などにもともと興味があって自分から学んでいく心構えでないと、
どんどん変わっていくものを教えられないというのがあります。
どんな仕事でも、自分たちの外の世界の目線で必要とされること、
あったらいいなを自分で見つけられるか、それについて考えられるか、
それを実行に移せるか、実現に向けて自分で何かを習得しようと努力できるか、
ということをみるためのものです。(若干後付)
結局のところ我々の業界では、私は紙専門、私はウェブとか
そういうことを言っているようでは時代遅れも甚だしい。
ユーザーに必要なものを全てできないとあんまり意味がなく、
そうでなければ趣味の延長でしかないから片隅で自己満足の人生で終わる。
かといって全方位をやるのは大変なので、いくつか自分が突き詰めたい技術をピックアップしてとことんやってみるというのが必要かと思います。その技術がどうなるかはさておき、その姿勢や試行錯誤するプロセスが重要だと思います。
趣味を楽しみながらお金にできるのが一番いいんですがね。
■セッション概要
しずおかオンラインでは、WPS.3を導入し、女性向けの情報誌「womo」や、住まいの情報誌「イエタテ」を制作・発行しています。誌面用に使った写真やテキストデータを自社で運営しているWebサイトなどにも活用できないかという発想から、WPS.3と連携した「PaperWeb」を自社開発し、運用をしています。
本セッションではこの「PaperWeb」の概要とどのように活用しているかを事例を交えてお話します。
■講師プロフィール
松永和男(まつながかずお)株式会社しずおかオンライン ITスペシャリスト
iOS/Androidアプリ開発者でRubyを使ったWebサービスの開発者でもある。しずおかオンラインでは、自社で発行しているフリーペーパーwomo、イエタテの誌面データをWebに活用するためのWebサービス「PaperWeb」を開発。
また、PaperWebで変換された誌面データを活用した「womoアプリ」やスタンプラリーアプリ「まちぽスタンプ」などを手がけている。
資料はこちらからダウンロードできます。
松永さんは、自分よりちょっと年上なのですが、技術者としてのノリがとてもよくて、
「ちょっと作ってみちゃいました」という感じで、サクサクとアプリを作ってしまいます。
企画も開発もデザインもトータルでできる人ってなかなかいないです。
特にこの業界の技術者に求められるのは、コードがかけるだけじゃだめなんだよなあと思います。
今回は、WPS.3とのコラボがメインなので気を使っていただいて印刷系によせた実績をお話いただきました。
印刷業界の展示会「page2013」でも講演されてるんですねえ。まぁとにかくスゴイ人です。
しずおかオンラインさんは、とても気の合う会社さんで担当者や技術者の方とよく交流しています。
社長もほんわかした人で魅力的な企業で、出版、フリーマガジンからプロモーション企画など
静岡県を中心に様々な事業に取り組んでいます。
当時、他社さんのシステムを導入しようとされていましたが、
前述のpage展で志水さんというこれまた変わった方がたまたまブースに来られてから話が進み、
結局WPS.3を採用していただきました。
これまで求人系が多く、それほどデザインのパターンが多くない、増えない、簡素である
というのが主流だったのですが、「WOMO」は結構デザイン豊かで、
これに対応できたことは、その後のWPS.3の展開を大きく影響し、
その後はデザインされたタウン情報誌、クーポン誌などの導入が増えました。
WPS.3の稼働が軌道にのってから、このデータを使ってなにかできないかというテーマから、
(さくっと)アプリを開発されました。
世の中に、印刷で使ったPDFをペラペラめくるタイプのビューワーでWEBで見せたりというのもありますが、誌面は誌面、WEBはWEBのデザインで内容は誌面を流用、という流れができました。
すごい威力ですね。今までのようにDTP→コピペ→HTMLとか人がやったら2日はかかりますね。
この作業は、知性もセンスも必要としないので、この業界の人がやっても楽しくない、お金もらってもやりたくない部類の仕事だと思います。
paper-webというしずおかオンラインさんが開発された中継システムです。
・dot3-apiを使ってWPSのデータにアクセス
・校了した号を指定して文字、画像データを引っ張る
・その他画像・動画コンテンツを追加するなど整えてリリース
という流れです。
ぱっと見でスルーしてしまいますが、画像がWEB用にコンバートされてます。
この仕組は他のユーザーさんにも提供(dot3-apiをNC、paper-webをSOL)しています。
…という考えは当社も全く同じです。
これが出来るか出来ないかが、情報(メディア)を扱う企業として重要なポイントだと思います。
倉澤 重憲(くらさわしげのり)株式会社マーケティングエージェント 代表取締役社長
(株)ビジネスコンサルタント、(株)ドゥ・ハウスの営業責任者を経て起業。WEBビジネスのコンサルティング、WEBコンサルティングでのディレクション業務に従事。
SEOの会社をあんまり信用してない(多分自分があまり理解していないから)のですが、マーケティングエージェントさんのSEOは本気らしいです。
テクニカル寄りの人ではありますが、とっつきやすい方です。
以下の資料は続くのですが、リリース前のサイトなので控えさせていただきます。
dot3-apiを使って、下版データを取得してWEBサイトへ展開するという仕組みになります。
通常のWEBサイトに加えて、dot3と連携するということで大変だったと思います。
ホントは紙かWEBか先にある状態でやった方がいいのですが、今回は同時開発。
api仕様みて頑張ってね、という感じでしかうちとしては言えない(WEB側の仕様が分からない、実際WPSも含めて動かしてデータがどうなるか、運用としてどうなるかが分からないから答えようがない)中、連携したのを見せてもらって感動しました。
一点、なるほどと思ったのは、開発時に感じたこととして話してもらった
「ビジュアル主義とデータ主義の違い」 についてです。
WEB開発の立場からみた「誌面とWEBの違い」と言っても良いと思います。
紙媒体の制作は美しさが重要。ネット媒体はデータ表現が重要。
確かに、私たち印刷の世界から入った人間は、ついつい「見た目」から入ってしまいます。
しかし、WEBがWEBである本当の意味は、欲しいデータへのアクセスのしやすさです。
見た目は、見た人で印象が変わります。作る側はいつもエゴが出てしまうので、
あれもこれも盛り込んだり、目立たせたりというのをビジュアルデザインに走ってしまいがちです。
たまに、うちでもWEBデザイン、サイト構築をするときがありますが、
デザインに対する思考がカオスになってきたときには、
Googleのように「窓一つ」のUIがどれほど長く使われているかを
思い出して原点に立ち返ることがあります。
誌面とWEBの連携を実現するには、
「絵で確認する文化」と「データで確認する文化」の双方を理解した上で、
双方に良い形のバランスをとる必要がある、と思いました。
■セッション概要
求人情報の発信は紙媒体→Webポータル→ATSと変遷しつつありますが、今後自社媒体(オウンドメディア)も拡大していきます。その背景について、また現代の情報伝達の仕組みを基に、この先の求人媒体・求人広告がどうなっていくのかを考察していきます。
■講師プロフィール
栃原崇志(とちはらたかし)株式会社アビリティ・キュー システム管理部 部長
1974年生・44才。1997年に入社。2001年~2016年まで編集長を歴任。福岡で初となった設置型求人フリーペーパー「週刊求人あぱぱ」の編集・制作業務のかたわら、社内システム・Webシステムの開発などのシステム管理全般を担う。
現在は求人ポータルサイト「あぱぱnet」のWeb対策に取り組むと共に、他社とアライアンスを組み、求人オウンドメディアサービス「JOBRIDGE(ジョブリッジ)」の立ち上げを進めている。
福岡で求人のフリーペーパーを発行しているアビリティ・キューさんは、
またちょっと変わった会社で、栃原さんと藤田さんが中心となるデータ重視のチームが存在し、
それがビジネスにおいて重要な地位を占めているところです。
フリーペーパーというと、結構イケイケ営業で掲載を力業でとってくるというようなイメージがありますが、栃原さん達が支えるデータが営業力として必須となっているようです。
(本人たちは謙遜してますが、かなり研究、検証されています)
こういうひとをデータサイエンティストと呼ぶのかな。
数値でみると説得力ありますね。これが現実なんですね。
ここには出していないのですが、
魚が少ない釣り堀で沢山の人が釣りをしても釣れるわけがない、という状態になっていると
釣り堀の写真を出して話してくれました。
Indeedのことなら栃原さんに聞けというぐらい信頼しているのですが、
ご自分たちでいろいろ工夫、検証しながらやってきたノウハウはかなり価値が高いと思います。
WPS.3から書き出した校了データをIndeedに最適なデータにするため変換プログラムを書いたり、
情報を追記したりしてWEB用データにしています。
メタタグとかそういう小手先じゃなくてコンテンツが重要なんですね。
アビリティキューさんの新たな試みの紹介です。
ポータルサイト重視ではなく、独自サイト(ページ)を重視する。
これは自分もそう思うのですが、現状多いポータルサイトとしての求人サイトはどうなんだと。
ユーザーが欲しい情報に対して、余計な情報がつきすぎていないかと。
建設で探した人に、保育の求人がいるのか???
「沢山の案件(データ)を扱っています!」、
というのがユーザーに響いていないのをそろそろ理解しないといけない。
掲載してもらう側が気にするのは、案件数とかではなくて、
もちろん検索で上に来て欲しいけど、うまくユーザーとマッチングできればそれが一番望むところ。
そのためにはトップページとか上辺の話ではなくて、データにアクセスしやすいサイトになっているか、コンテンツが充実しているかだと思います。
ポータルがいるか、いらないかという話ではなく、重要なのは見た目じゃなくて、データだよ、という事だと思います。
もし、Google for jobsが来たらまた状況がひっくり返る可能性があるらしいです。
追記)2019年2月現在、来てしまいました、Google for jobs。vivicalは対応させました。
あたかも自分向けのポータルサイトに来た感じに錯覚してしまうUIでした。さすがGoogleですねえ。
「客ココ便利くん」は、求人営業マンが苦労して作成しているアタックリストを、毎週最新リストとして提供します。その他給与状況が把握できるサービス、営業マンの活動履歴を管理できます。日々進歩しているサービス内容をお話します。
■講師プロフィール
背古 繁夫(せこしげお)方正株式会社 メディア事業部 営業1部 部長
長年、新聞業界や求人業界で基幹系システムの構築を歴任。その経験を通して、今回初めてシステム構築ではなく、サービスとしての提供形態を推進中。
背古さんとは15年ぐらいのお付き合いになるかと思いますが、「カワハラさん、こんなん作ったんやけどどう思う?」と、関西弁でニコニコしながら気兼ねなく会話してくるおじさんです。もともと技術よりの人なのですが、すごく説得力がある説明をしてくれるので、「方正さん、すげえなあ」といつも思わされます。
結構知ってる参加者もいたのですが、営業支援のクラウドサービスです。
いろんな求人サイトをクローリングして情報を収集、アタックリストやエリアを指定して掲載情報を給与で検索したりできる優れものです。
ここには出せなかったのですが、AI関連も中国企業なだけに早くから始めていて、校正支援ツールとかもやっているそうです。ああ、日本がどんどん遅れていく。。。
■セッション概要
InDesignは印刷物制作のための高度なアプリケーションですが、Illustratorとの違いをよく知らない方も多くいらっしゃいます。このセッションでは、「InDesignがIllustratorとどのように違うのか」や「InDesignでできること」をかいつまんでお話します。
■講師プロフィール
森 裕司(もりゆうじ)Adobe Community Evangelist/InDesignの勉強部屋
有限会社ザッツ 代表。名古屋で活動するフリーランスのデザイナー。Webサイト『InDesignの勉強部屋』や、名古屋で活動するDTP関連の方を対象にスキルアップや交流を目的とした勉強会・懇親会を行う『DTPの勉強部屋』を主催。また、Adobe公認のエバンジェリスト『Adobe Community Evangelist』にも認定されている。
テクニカルライターとしても40冊以上の著書を持ち、2016年11月末より、個人で執筆した『InDesignパーフェクトブック(PDF版電子書籍)』のダウンロード販売もスタートさせている。
InDesignといえばこの人「YUJI」さんのセッションです。
最初に2018年10月にロサンゼルスで開催されたAdobe Maxについて少しお話していただきました。
そもそもYUJIさんに声を掛けたのは、ユーザーの中には、イラレは使ったことがあるがInDesignを使った事がない、WPSを導入して初めてInDesignを触る方も多いので、WPSの用途だけでは使用範囲も狭いので、InDesignってこんなに便利な機能があるんだよ、ということをお話頂ければ、とお願いしました。
WPSで作成したデータをダウンロードした後、印刷入稿データの作成はInDesignで行います。
そんなとき、ノンブルをマスターページにおいておくと、自動的に連番で振られますよ、という簡単なものから、普段の制作作業で使える「目次」「索引」「脚注」の自動生成機能をお話していただきました。
例えば、目次を作る時、その大元が変わったら、目次もまた直す必要があります。
InDesignでは、目次として抜きたい部分に段落スタイル(大見出し、小見出しなど)をつけて、目次抽出すると、ドキュメント内を走査して文言とその出現ノンブルを自動で抜いてくれます。ブックにしてあれば複数ドキュメントからも抜けます。レイアウトソフトにはよくある機能ですが、上手く使うと、目次用スタイルまで当てられるので人が調整する必要もない状態にまで出来ます。
「そんなん手で直せばええやん」と思うかもしれないですが、印刷物制作の現場において、この類は最後のドタバタの時に発生したり発覚したりして、うっかりミスで印刷事故に繫がるのです。如何にデータを触らずに印刷物を作るか、これを極めることがみんなが楽になると常日頃思うところです。
このショットがぶれてるのでアレですが、なんか「いつものYUJIさん」という感じのセッションでした。ありがとうございました!
■セッション概要
比較的デザインバリエーションが必要とされる、タウン誌でのWPS.3利用にあたり、 どこまでデザインバリエーションが追求できるかの実践をご紹介します。
■講師プロフィール
藤田 久吏(ふじたひさし)㈱ほっとこうち 顧問/デジタルコンテンツ開発担当
高知県の地域タウン情報誌「ほっとこうち」創刊より参加。2011年「ランチパスポート」を発案、発行。その後全国展開に携わり、現在に至る。2013年9月よりWPS.3をタウン誌「ほっとこうち」に導入。以後WPS.3によるデザインバリエーションを追求している。
WPS.3のユーザーの中でもひときわチャレンジ精神が強い藤田さんのセッションです。
デザインパターンは、導入時はNCで作成するのですが、「デザイナーが出来る自動組版」というコンセプトにもあるように、InDesignがあればユーザーでも作れるというのも魅力のひとつです。
藤田さんはWPS.3の面白さに見事にはまっていただいて、ご自分で多種多様なデザインパターンを作成し、ほっとこうちの誌面や他ユーザーさんのデザインパターンを作成しています。
他の企業さんにもWPS.3を紹介していただいたりして、導入からパターン作成まで全部こなせる販売代理店としても活動していただいています。
著作上の問題があるかもしれないので全部ではないですが、紹介できそうな分だけ紹介します。掲載写真のお顔はモザイク入れました。
まずはよくあるパターンですが、QRコードと地図の切り替えとか、
税込み表記の文字サイズの調整などよく見ると、フィルターも使って細かく調整されています。
かわいいですねえ。いや、そうではなく、普通これを自動組版でやりますか?
しかも、写真縦横に対応していてキャプションの位置も切り替えてるんですね。
気になったので質問してみると、
「え、だって楽だもの」
ということでした。
確かにそうなんですよね。
デザインのが決まったら、その時点でパターン化するそうです。
そして原稿はWPSからいれてもらう、という自分たちで言うのもなんですが、当たり前のことをされているだけなんですね。ホントに印刷業界は見習わないといけない。
デザイナーがイラレで適当なダミー原稿でデザインを作り、実際原稿が入ってくると、うちのような制作会社がこのデザインフォーマットに入れていく。
デザインの変更があると、ほとんどやり直しとかアホのような作業をさせられたりするんです。
また、デザイン見本の時点でいろんな原稿の内容を想定できてないと、実際原稿をいれてみたら、入らない、バランスが悪い、とか。。。どこがキメなのか分からないので、調整してあげると、意図が違うとか、はぁ?ですわ。
WPSを使うと、そういうのからすべて解放されるんですよね。素晴らしい!!
紙とWEBをどう繋ぐか、という試みを色んな技術を駆使して実験されています。
こういうのを見ると、湧いてきたアイディアを自分の出来る範囲でやって、世の中に出す、というスピード感とそのバイタリティに感服してしまいます。
プログラムの知識が皆無のデザイナーがwpsを始め、試行錯誤しながらデザインパターンを起こし、フォーマットを起こし、運用にこぎつけるまでの話しをできればと思います。
■講師プロフィール
飯塚恭規 しずおかオンライン デザイナー
静岡県をメインに地域の生活・観光コンテンツを中心に出版・フリーマガジン・インターネットなどの媒体など企画運営している会社でデザイナーとして、住宅情報誌の「イエタテ」、「家を建てるときに読む本」をメインに様々なデザインにかかわる。
飯塚さんはデザイナーです。
デザインって難しいなぁと日々思うのですが、飯塚さんのデザインから学ぶことは、全体的なバランス感です。
誌面サイズに対しての天地アキ、各要素ブロックのまとめ方と配置を絶妙なバランスが本全体のクオリティを高めていると思います。
WPSのコンセプトに、
機械にできることは機械に。
その分、人にしかできないことに時間を割いてほしい、
というのがあります。
普通に本を作ろうと思うと、何人かで分担作業、もしくは外部スタッフさんに作ってもらったりと、とてもひとりではできません。分けてしまうことで、本全体のバランスは微妙に変わってしまいます。
本をデザイン的に見たときのクオリティを高めるのは、全体を通したバランスの良さだと思うのですが、
時間的、コスト的に見て難しい。
しかし、自動化によって、誰でもできる作業から解放されたデザイナーのデザイン力によって、
本来持つべき、目指すべきクオリティを考える事ができます!
自動化でデザイン力は失われません。むしろどうでもいいところと、そうでないところが見えてきます。それを見極めて本なデザイン的クオリティを上げられるかがデザイナーのやるべきことではないかと思います。
自分もそうなのですが、手でやるという解決策を持ってやってきたが故に、こんな小難しいことをこの年で覚えないといけないのかという気持ちが頭をかすめます。
今まで通りでいいじゃないか?
しかし、ただただ依頼されたデザイン、組版をやるだけの世界に未来があるのか?という問いかけから逃れたいだけの腰抜けかもしれない。
自分を変えなければいけない、という大きな壁を打ち破らなければいけません。
始めない言い訳を考える時間があるならInDesignを開いて中のデータがどうなってるかを見ればいいだけです。
スクリプトラベルを見て、フォームを見て、フィルタを見てとやっていくと少しずつ繋がってきます。
何回も失敗するかもしれません。基本概念的な研修や解説のマニュアルはあります。
わからないことは質問すれば答えますし、アドバイスもします。
しかし、最終的に何がしたいかを常にイメージしながら、それを理解しよう、やってやるんだと努力するのは自分自身です。
もし、努力しなくても誰にでもすぐわかるものであった場合、それは機械化、自動化できるものなので人は不要です。
ただのワーカーで終わるのか、そうでない世界へ向かうのか。少なくとも自分のスキルの幅は広がるのです。
ほっとこうちの藤田さんもそうですが、デザインの段階で自動化、データ化を考慮できるのは全体の効率化に大きく影響します。
最初は、こんなの自分には無理と思っていたのに、やればできる、というところまできた飯塚さん。
昔はパターン追加や修正のたびにうちに依頼をかけてましたが、めっきり減りました。
ちょっと寂しいですが、でもそれが自分たちも目指すところ。これからも一緒頑張りましょう!
本編に参加いただいた方々は、ほとんど懇親会へ参加いただきました。
日本津々浦々ではないですが、各地の企業さんと色んな話題で盛り上がっておりました。
今後は、デザイン、ウェブなど少しターゲットを絞ったテーマで開催したいと思います。
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。